子午流注に引き続き、今回は季節ごとの養生のご紹介をしていきます。
立春・立秋・夏至・冬至は、私たちの生活の中にあり、馴染みがありますね。
これらは二十四節気の一部です。
二至二分(春分・夏至・秋分・冬至)があり、更に四立(春立・夏立・秋立・冬立)があります。
古代中国では農業、つまり田植えや稲刈りなどの目安としてこの二十四節気が使われ始めました。
季節をより細かく分けることで、その時期に何をするかを的確に人に伝えることができるのです。
季節を二至二分(春分・夏至・秋分・冬至)し、さらに四立(春立・夏立・秋立・冬立)し八等分すること
(これを八節と呼んでいるようです。)は中国 西周で始まり、この二十四節気の原点とされる説があります。
この八節とは別に二十四節気という区分があます。
小寒からはじまり、大寒・立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨・立夏・小満・芒種・夏至・小暑・大暑・立秋・処暑・白露・秋分・寒露・霜降・立冬・小雪・大雪・冬至と季節が移ろいでゆきます。
1つの季節は15日間となります。
立春から立夏までが春、立夏から立秋までが夏、立秋から立冬までが秋、立冬から立春までが冬となります。
五臓の働きもこの季節に合わせて変化していきます。
晩春から長夏は陽が強く、秋から早春までは陰が強いと言われています。
春は『肝』、夏は『心』、長夏(または土用)は『脾』、秋は『肺』、冬は『腎』が活発に活動しているのです。
そのため季節により陰陽の過不足が起こり五臓に直接的に変化をもたらすゆえ、身体の変調の原因となります。
季節によって養生の仕方が異なるのもこれでおわかりでしょう。
不足した陰陽を補い、さらに活発となる五臓を栄養することが、季節ごとの養生のポイントとなります。
春を例に挙げてみましょう。
春は陽気が盛んになります。陽気は『上に上がる性質』を持っているため、気分も高揚しやすくなります。
冬から春になると気温も徐々に上がり、植物と同じように人間の身体も芽吹くように、解放していきます。
その時に春特有の強い風に吹かれると、身体は風によりむしばまれます。
春の季節では『肝』が活発に活動するため、気の流れを活発にし、興奮を鎮め、外からの邪気(ここで言う邪気とは風。風によっておこる不調)を防ぐための食材を選ぶことや養生が重要となります。
春
『肝』が活発になります。
そのため変調もきたしやすくなり、『肝』が好む『酸味』を身体は欲します。
冬から春に移行するとき、身体も大きく変化するので、風にあたりすぎると体調を崩しやすくなるので注意が必要です。
【2月頃 立春・雨水】
『肺』がこの時期に伸びる時です。この時に弱る(東洋医学的に表現するのであれば、『肺虚』となる)と風邪気味になりやすくなります。
【3月頃 啓蟄・春分】
『肺』の働きが悪くなると、『血』の巡りも悪くなり『脾虚』(『脾』が虚弱な状態になっていること)・『肝気鬱血』(『肝』の気の巡りが悪く、『肝』で作られる血が停滞している状態)となると、呼吸もしづらくなるものです。
冷水は脾胃(消化・吸収)の作用を妨げるため注意が必要です。
【4月頃 清明・穀雨】
万物(草木)が目覚め始める時期です。
新芽は軟らかい葉の状態を呈するように、人間の私たちの身体もしかり。
目覚めたばかりの身体ゆえ、疲れを感じるのかもしれませんね。
雨の日が多くなると、穀物も成長していきます。
【5月頃 立夏・小満】
五臓が働き、五穀を食べることで、脾胃が健康になることができるのです。
夏
『心』が盛んとなる時期です。
暑さが増す時期でもあるので、夏バテの予防をしっかりとしていきたいものです。
夏野菜(トマト・ナス・きゅうり・スイカ・にがうり)は『身体の熱を冷ます』という性質をもつ涼性、寒性の野菜です。食べ過ぎると身体を冷やしやすくなるので注意は必要ですが、夏に食べることで熱をとるため、理にかなった食材と言えますね。
【6月頃 芒種・夏至】
穀物が育ち実る時です。
【7月頃 小暑・大暑】
暑さが増すとともに『脾』が盛んとなります。
『脾』は上肢、下肢と深く関わっており、消化をスムーズにするためにも魚はおススメできません。
『脾』と相対的な関係にある『肝』が影響を受けることもあり、『血』と関係の深い『肝』によって、血瘀(どろどろとした粘り気のある血)になりやすい時期でもあります。
長夏
『脾』が盛んとなり、甘味を好んで食べるようになります。
外気が蒸し暑く湿気で重たいのと同じく、身体も湿気で重だるく感じる時期です。
消化機能も低下する時期ですので、身体の中の湿気を取り除き、消化機能を高める食材を選ぶことをおススメします。
生姜・大葉・だいこん・大豆・穀類
【8月頃 立秋・処暑】
熱は上に上がる性質をもっているため、この熱が逃げきれなくなると身体の中に湿気という状態でとどまってしまいます。
胃から小腸まで湿気が溜まると、消化機能が低下するため、特に肉の消化が悪くなります。食べ過ぎには注意しましょう。
【9月頃 白露・秋分】
暑さが収まり涼しくなると、万物(草木)がまた力が。
『肝』・『脾』により弱まるため、野菜中心で、時々アルコールを飲んで腎を温めるといいでしょう。
秋
『肺』が盛んになると、辛味を好みます。
さらに外気が乾燥していくため、身体は乾燥肌に傾き、風邪を引きやすくなります。
体内の乾燥を防ぐには、りんご・梨・豆腐などを意識的に取るように心がけましょう。
【10月頃 寒露・霜降】
寒くなると身体を温めようとする肺の力によって、乾燥から身体を守っています。
【11月頃 立冬・小雪】
外気が寒くなると冬本番となります。
下焦(身体を3等分した時(頭・お腹・下肢)の下1/3(ここでは下肢を指す))をケアするといいでしょう。
冬
『腎』の働きが盛んになる時です。
鹹味が入りやすい時期です。
『腎』を温め風邪予防するためにも、エビ・鶏肉・羊肉・クルミ・栗などの食材を選ぶといいでしょう。
【12月頃 大雪・冬至】
雪が降り、葉は枯れて落ち葉を目にすることが多くなる時期です。
この時期に一番『肝』・『胆』が弱くなり、『腎』がもっとも盛んになります。
【1月頃 小寒・大寒】
1年で最も寒い時です。
身体を冷やさずに温めることをオススメします。
最近のスーパーでは旬野菜だけでなく、通年どんな野菜も手に入れることができるようになりました。
旬野菜を食べることで、その季節におこる体調不良を改善できるものです。
野菜も人間と同じで、その季節ごとに栄養をしっかりと大地からもらっています。
そのため季節外のハウス栽培した野菜より、旬野菜は栄養価が高いと考えられます。
旬野菜は収穫が多いためお値段も安いためお手頃です。
旬野菜によるアットホームでクッキングに挑戦してみてはいかがでしょうか?
季節ごとに五臓の変調があり、身体の変調も起こしやすいことはご理解いただけたでしょうか?
さらに女性はホルモンバランスが不安定なためバランスを崩しやすくなります。
体調の変調をおおきく起こさないためにも、鍼灸で定期的なメンテナンスをおススメします。