最近、「緊急避妊薬」が医師の処方なくドラックストアでも購入できるようにする方針だというニュースが話題になっていますよね。
以前は、「ピル」を飲んでいるというだけで周りの人に冷ややかな目で見られたりすることが多かったのですが、今では世間の理解も少しずつ増え、飲んでいる女性が増えてきているそうです。
この通称「経口避妊薬(ピル)」というものがどのような役割を持っているのか、身体にどのように作用するのかを書いていきたいと思います。
ピルとは?
ピルは簡単に言うと女性ホルモンをコントロールして、生理痛やPMS(月経前症候群)の症状が酷く生活に支障をきたす方や、子宮内膜症などの疾患を持っている方の治療に使われているお薬です。
(種類によっては、避妊用途で使う場合もあります。)
女性ホルモンについて
まずピルには女性ホルモンが含まれているのですが、その女性ホルモンについて軽く説明していきます。
女性ホルモンは二種類あり、「エストロゲン」「プロゲステロン」とそれぞれ呼ばれます。
「エストロゲン」は卵胞(らんほう)ホルモンとも呼ばれ、女性の体を作るのにとても重要なホルモンです。
乳房や膣、子宮の成長に関わっています。
他にも、髪の毛や肌の潤いの保持・骨の維持・コレステロールの調整などの働きを持っています。
「プロゲステロン」は黄体(おうたい)ホルモンとも呼ばれ、排卵が起こるときに増え始めるホルモンです。
子宮内膜を柔軟にしたり、乳腺の発達を促したりなど妊娠するために重要なホルモンです。
他にも、利尿作用や体温を上げる機能を持っています。
このプロゲステロンは、妊娠が起こらない場合2週間ほどで減少し、子宮内膜が剥がれます。
これが「生理」です。
ピルの作用について
次にどのようにピルが女性ホルモンをコントロールしていくのか書いていきたいと思います。
ピルは、先ほど書いた通り女性ホルモン二種類が含まれたお薬です。
それを飲むことによって、血中のホルモン濃度が高くなり脳が女性ホルモンを出すのを控えるようになります。(妊娠状態)
そうすることによって排卵が抑えられ、妊娠を防ぐことができます。
ピルの種類
では、ピルにはどのような種類があるのかを紹介していきます。
低用量ピル
日本では、基本的に低用量ピルが処方されます。
低用量ピルの中にも種類があります。
ワンシートの中でも、ホルモンが一定の”一相性“、二段階に分かれる”二相性“、三段階に分けられる”三相性“があります。
それぞれの違いは次の通りです。
一相性ピル
ほかの二つに比べホルモン量が多くなっており、すべてのお薬が一定(ホルモン量が)なので、飲み忘れなどによる避妊効果の薄れの危険性は低くなっています。
二相性ピル
一相性に比べ含まれているホルモンの量が減り、自然な形に近づくため副作用が出にくくなっています。
避妊効果の薄れの危険性は少し高まります。
三相性ピル
一番ホルモン量が自然と近く、身体に一番負担なく飲めるお薬です。
ですが、避妊効果の薄れの危険性は一番高くなっていますので飲み忘れには十分注意が必要です。
低用量ピルの飲み方は、毎日同じ時間にというのが原則です。
用法は低用量ピルの中にも種類があり、21錠タイプのものや28錠タイプのものなどがあります。
その種類によって医師から説明があるため、それに従って服用します。
低用量ピルの効果は、避妊はもちろん、ホルモンバランスを調整するため、生理不順の方や、生理痛が重い方、PMSの症状が酷い方、ホルモンによる吹き出物で悩んでいる方などに処方されます。
アフターピル
アフターピルというのが緊急避妊薬です。
低用量の時には毎日服用が原則でしたが、このアフターピルは性行為後すぐに服用し、医師の指示通りの期間飲み続けます。
緊急に避妊をするためのお薬なので、早く飲むほど効果が高まります。
高、中容量ピル
この高、中用量ピルも、低用量と同じく生理痛をコントロールするために飲むお薬です。
低用量ピルとの差はなにがあるのかというと、避妊効果や生理痛の緩和、内膜症の治療などの効果に変化はありませんが、女性ホルモン量が多くなり、生理をずらす目的などで使われることもあるそうです。
また、ホルモン量が増えることにより、副作用が強く出てしまうことも多いため、服用には注意が必要です。
飲み方は、治療で服用する方は低用量ピルと同じ飲み方をしますが、生理の日にちをずらしたい人は飲み方が変化します。
早めたい人は、生理開始後5日目あたりから服用をはじめ、来てほしい日にちの2・3日前に服用をやめます。(それまでは毎日服用)
逆に遅くしたい人は、生理が始まる5日前に服用をはじめ、早めたいときと同じく、来てほしい日にちの2・3日前まで服用します。
読んでいて分かるように、ピルをやめた2・3日後に出血が起こるようになっているので、もしピルで月経をずらそうと考えている人はこの日にちを参考に計算してみてください。
ピルの副作用・リスクについて
ピルを飲むにあたって一番不安なのはリスク・副作用だと思います。
血栓症
まずリスクとして挙げられるのが、血栓症です。
血栓症とは、血管のどこかで血栓というものが詰まり循環が悪くなることで、臓器などに血液が送れずひどくなると壊死してしまう恐ろしい病気です。
頻度は高くありませんが、とても危険なため注意が必要です。
また、煙草を吸われている方はリスクが非常に高くなるため、ピルを飲む方は禁煙するよう言われることもあります。
血栓症は怖いですが、基本的には定期的な血液検査が行われるので、安心して続けられると思います。
副作用
副作用としては、吐き気や胸の張り、頭痛、浮腫みなどが出やすいとされています。
これらは慣れてくると減少してきますが、上に書いたピルの種類の中の容量が上のものになってくると慣れるまでに時間がかかることもありますので、最初は婦人科の医師と相談の上飲むことをお勧めします。
ピルを服用することでの利点
先ほど、生理痛やPMS、子宮内膜症の治療などに効果があると書きましたが、どのように治療にピルが役立っていくのでしょうか?
生理痛
まず、生理痛。
生理痛はなぜ起こるかというと、必要なくなった子宮内膜を外に出す際に子宮が収縮する(プロスタグランジンという物質による)ことで起こるのですが、ピルによって子宮内膜を作る量が減り、排出する量も減ります。
そうすることにより収縮が収まり、物質の量も減るため痛みが起こりにくくなります。
PMS(月経前症候群)
PMS(月経前症候群)は生理の始まる一週間前当たりから、頭痛やイライラ、腹痛腰痛などを感じるもので、生理が始まると痛みが和らぎます。
PMSは女性ホルモンのうちのプロゲステロンが多量に分泌されることで、脳から出される物質の分泌を邪魔してしまい様々な症状が出るといわれています。
この症状に対して、ピルを飲むことで女性ホルモンが多量に出るのを抑え、症状を和らげることができます。
子宮内膜症
子宮内膜症は、上で書いた子宮内膜が子宮以外のところにも存在し、生理のたびにそこからも出血が起こる病気で、生理を繰り返すことで悪化します。
ピルを飲むことで内膜の量が減るため、悪化が防げ、さらに子宮内膜症による生理痛も改善します。
おわりに
以前までは、ピルを飲むことで嫌な思いをしたり、周りの目が怖く生理痛を必死に我慢していたりする方が多かったと思います。
生理痛は一か月に一回は必ず来るものです。
毎月苦しむのはとても辛いですよね…。
今回は多くの方にピルの存在を知ってもらい理解していただく、また我慢していた方にはぜひ婦人科に行って相談してほしいと思いこのブログを書いてみました。
また、ピルによって生理痛やPMSを改善できることを書いてきましたが、鍼灸治療でも改善していくことができます。
骨盤周囲の血流を高め冷えを改善することによって腹痛を緩和することや、東洋医学的診断方法の脈診を使いその人の体質を改善していく根本治療を行い生理痛、PMSなどの改善を図ります。
ピルを飲むことに抵抗がある方や、ピルでも改善しきれない人などぜひ鍼灸師に相談・鍼灸治療を体験してみてください!
美容鍼灸サロン カラダキュアは「真の美しさは健康から」をモットーに鍼灸施術を行っています。