毎日マスクを欠かせない日が続いていますよね。
肌荒れが気になる方は、できるだけマスクの着用をしないことが望ましいですが、感染リスクを考えるとマスク着用は避けて通ることのできない壁です。
ニキビ肌やアトピー肌などお肌の弱い方にとっては、マスクがお肌への摩擦=刺激になることは身を持って体感していることと思います。
そんな私も敏感肌でもありニキビ肌でもあり小児アトピー肌です。
マスク生活に苦労をどうして感じるか、敏感肌でもある鍼灸師の私が紐解いていきますね。
お肌は摩擦に弱い?
人間の皮膚は外敵からの刺激に反応し身を守るために敏感でもあるし、身体を守る壁の役割を果たすこともしています。
ここからは、すこし難しい話にはなりますが、すこしお付き合いください。
異なるものが擦り合わさると摩擦が生じます。
摩擦によって摩擦帯電が生じます。
静電気による現象だと考えていただければよいと思います。
異なる2つの物質が擦り合わさることで、一方からもう片方へと電荷します。
冬に洋服を脱ぎ着する時に起こる静電気もこの一種です。
洋服の素材の違いによりおこります。
+(プラス)に帯電しやすい
(=+(プラス)の静電気を帯びやすい)
プラスの度合いが強い物から順にあげています。
空気・人間の皮膚・皮革・ウサギの毛皮・ガラス・ナイロン・ウール・猫の毛皮
肌荒れを防ぐにはマスクは布派?不織布派?
私たちの皮膚は比較的+(プラス)に帯電しやすくなっています。
接触するもの同士が+(プラス)の場合は、刺激を感じることは多くありません。
しかし接触するものが-(マイナス)に帯電しやすいアクリルやポリウレタンなど化学繊維の場合は、異なります。
皮膚は+(プラス)のため、-(マイナス)の製品・衣類などの接触は静電気を生じます。
それゆえ皮膚刺激となりますので、肌が弱い方や炎症をおこしているかたは要注意です。
小学生の時を思い起こしてください。
下敷きを頭に擦って、髪の毛を逆立てた記憶はございませんか?
これも同じ現象です。
下敷きは-(マイナス)の静電気を帯びているので、人間の髪の毛(+(プラス))を擦ることで、下敷きの-(マイナス)の静電気が移動するのです。
すると髪が逆立った面白いシチュエーションが完成するのです。
+(プラス)に静電気を帯びやすい度合いもあれば、-(マイナス)に静電気を帯びやすい度合いもあります。
接触するもの同士の度合い大きければ大きいほど発生する静電気が大きくなります。
そのためお肌への摩擦が大きくなり、肌刺激となります。
実際に最近皆さんが毎日つけているマスクもこの下敷きのルールにもれず、当てはまります。
私たちの肌は+(プラス)の静電気を帯びます。
マスクは-(マイナス)よりのものです。
不織布といわれるマスクの原料はポリプロピレン、ポリエステルなどの化学繊維で作られています。
アクリルやポリウレタンなど化学繊維は-(マイナス)の静電気を帯びるため、不織布のマスクをした際に摩擦が生じ、肌へのダメージとなり、さまざまな肌トラブルを引き起こします。
さらにポリエステルの化学繊維は摩擦だけではありません。
ポリエステルはオイルを吸収しやすい性質を持っています。
そのためポリエステル素材のマスクをしている場合、お肌の皮脂がポリエステルのマスクに移ることにより、お肌の乾燥が加速します。
さらに不織布をすることでマスクの下に湿気がこもる環境となり、雑菌が繁殖しやすくなります。
マスクの中は湿気と雑菌により環境は悪化し、こまめなマスクの中の換気が必要になります。
必要であれば、お肌の雑菌を拭いとることも良いかもしれません。
布マスク
『ならば、布マスクがいいのでは?』とお考えの方もいるでしょう。
布マスクは摩擦帯電列(先程から話題にあげている+(プラス)と-(マイナス)の静電気を帯びる順(レベル・度合い)になったもの)で言えば+(プラス)にあたり、お肌との摩擦帯電の差は不織布マスクと比べると少なくなります。
摩擦帯電の観点から言えば、布マスクはおススメなのですが、布マスクをマクロカメラで繊維を見てみると毛羽立ちが見えます。
これも摩擦を生じさせる原因の1つとなりうります。
シルクマスク
シルクマスクはどうでしょうか?
シルクは肌触りが良いので、摩擦が無く良いのではないかと思いますよね。
ディスポーザブルのマスクと違い、布やシルクマスクは洗濯が必要になります。
洗剤には蛍光増白剤などのお肌への負担になる成分がはいっており、それらを洗浄されきれないままマスクを付けることになります。
お肌の弱い方は柔軟剤などの成分によって肌荒れを起こす場合もありますので、洗剤等で肌荒れを起こした方は十分に注意が必要になります。
気になるのは肌荒れからの”毛穴”?
マスクを常につけるようになってから、患者さまから毛穴のお悩みが増えました。
事実、マスクをすることにより、皮膚とマスクにより摩擦が生まれます。
そのため、もともとお肌の持っている防御作用よりお肌のターンオーバーが加速し、赤みを呈するようになります。
ターンオーバーが過剰になることで角質が厚みを増し、毛穴につまります。
これが角栓です。
角栓は毛穴に開口する皮脂腺から分泌される皮脂と角質のタンパク質の成分からつくられます。
角栓は脂分だけではなくタンパク質(表皮そのものもタンパク質で、それらも毛穴に詰まります。)も存在するため、クレンジングで簡単に除去できない問題の種なのです。
マスクなどの摩擦によって敏感になった毛穴に皮脂が溜まり、時間が経つと酸化します。
さらに時間が経つことで角栓が黒ずみます。
紫外線もメラニンを生成するため、お肌には大敵です。
マスクで肌荒れ!そうなったら、なにを選ぶ?
マスクが日々私たちに与える刺激をわかっていただけましたか?
お肌の敏感な方や美容に興味のある方には『何を選ぶか』知りたいことですよね。
感染予防の観点から、やはり不織布をおすすめします。
皮膚科に行ってお医者様にもマスクの下にガーゼを挟むように薦められましたが、数時間すると接触面が気になり始めました。
試行錯誤した結果、エステ用に販売されているハイゼガーゼは通常のガーゼよりあたりが柔らかいためオススメです。
最近では敏感肌用のコットンが販売されていますよね。
敏感肌用のコットンを挟むこともオススメしますよ。
先程もお伝えしましたが、ポリエステル素材のマスクは油分を吸収しやすい性質をもつので、あらかじめマスクがお肌に接触する面にバームなどの油分を塗布することもオススメします。
皮膚は心身の鏡だと言えます。
コロナ禍で不安定になるとお肌にも影響してしまいます。
心身の調整を鍼灸治療で、お肌への刺激を最低限にとどめてみてはいかがでしょうか?