おヘソは生命に関わる大事なものが出入りする場所
おヘソは、東洋医学では「神闕:しんけつ」と言う経穴(ツボ)にもなっており、主に腸の水分を調節し、胃腸の調子や冷え、婦人科疾患などの改善や、自律神経調整、メンタル調整などに使われます。
※正確にはおヘソの底の中央が神闕という経穴(ツボ)
「神」は生命力や生命そのものを意味し、「闕」は門、出入り口というような意味があります。
つまり、「神闕」とは、生命に関わる大事なものが出入りする入口、門という意味を持った経穴(ツボ)です。
※他にもいろいろな解釈があります。
私たちがまだお母さんのお腹にいたころ、栄養や酸素など、生育に必要なものはすべて臍帯(へその緒)を通じて吸収していました。
私たちはまさにおヘソが生命に関わる大事なものが出入りする場所、「神闕」であることを生まれながらにして知っているわけです。
東洋医学では生命の出入り口ですが、西洋医学的に見るとおヘソの周囲には太陽神経叢という、自律神経が網目状に密集している場所があります。
おヘソの施術
また、おヘソは皮膚が薄く、毛細血管も近くに多くあることから、熱や刺激も感じやすく、鍼は打ってはいけませんという「禁鍼穴」の一つに挙げられているため、鍼灸ではお灸が用いられます。
おヘソに使われるお灸は、私の知る限り、少し離れた位置から温めるものや、おヘソとの間に何かを挟んで温めるもの、間接灸、隔物灸と言われるものがほとんどで、おヘソに直接お灸を置くことはありません。
専用の箱に艾(もぐさ)を入れる箱灸や、棒状のお灸を使う棒灸、また、ショウガやニンニク、びわの葉などをおヘソとお灸の間に挟むショウガ灸、ニンニク灸、びわの葉灸、おヘソの窪みに塩やみそを詰め、その上に艾を置く塩灸、みそ灸などがあり、専用の道具を必要とするものから民間療法的なものまで、さまざまな種類があります。
おヘソを温めると、内臓が温まりやすい、自律神経が整いやすいなどと考えられ、具体的には、冷えや生理痛など婦人科疾患の改善や、胃腸の調子、不眠、気象病などに効果が期待できると言われています。
もちろん、腸が整っているとお肌の調子も良いですよね。
また、脳腸相関といい、脳と腸はお互いに影響を及ぼしあっていることがわかっています。
例えば、緊張などのストレスがあると、腹痛を起こしたり、お腹を下したりする、反対に悪玉菌などが多く、腸の環境が悪い人は感情が不安定になったり、マイナス思考になったりするのは、この脳腸相関によるものです。
箱灸
当院では、おヘソには箱灸を使います。
専用の箱にもぐさを入れ、おヘソの上に置く、温かくて心地よいお灸です。
また、おヘソ周囲の経穴(ツボ)に鍼を施すこともあります。
冷えや、生理痛、胃腸の調子が乱れやすい、自律神経の乱れ、メンタルヘルスなどが気になる方はぜひご相談ください。